この写真は裏拳正面打ちですが、全ての技は相手に対して「真っ直ぐ」に入れます。横からの技(カギ突きや廻し蹴り)も、自分は廻して技を出しているけれど、相手の体に対しては「真っ直ぐ」に入っていきます。

この感覚を自分の体と脳に「しつける(インストールする)」のが、基本稽古ですね。

このインストールをサボって、表面的な動き(スポーツや格闘技の動きですね)をやっていると、いつまで経っても技の本質が身につかない。

それどころか、努力すればするほど筋肉や関節に負担が掛かって壊れていく恐れもあります。僕は二十代後半頃には体がガタガタでしたね、格闘技的な練習&ウェイトトレーニングのやり過ぎで。

でも、自分では武道の「稽古」をしているつもりやったんですよ・・・。

古流柔術を学んで、それまでのものが「練習」であった事に気付き、もう根っこから体の使い方、そして意識の用い方を変えていきました。

今では、体の感覚も、意識・心の感覚も全く変わりました。

古流と同時進行で修行していた神道の修行も大きかったですけどね、心と体の繋ぎ方、意識の在り方はとても勉強になりました。

他力を使える様になると、「体はラクなのに、威力が出る」様になります。
そして、他力を使えるようになってくると、小さい自分=自我・エゴがだんだん無くなってきます。

というか、エゴが他力の存在に気付く事を邪魔をしているんですね。

「強く打ちたい」、とか「速く蹴りたい」という気持ちが、エゴであり、これが「腕や脚の重さを感じる事が出来る」という武道が求める精妙な感覚を身につけるのを邪魔しているわけです。

「腕や脚の重さを感じられる稽古」というのは、つまりは自分のエゴを消してゆく作業そのものであるわけです。

それを日々、繰り返していくのは武術を使った宗教(精神修行)であり、だから

「武道」と名乗る様になったんですね。

そういった意識を持って稽古していれば、自然と、

自力から他力へ。
そして、エゴの世界から利他の世界へ。
そういった境地へ入っていけるはずですし、そのような稽古を目指しています。

投稿者プロフィール

岡本
岡本マーシャルアーツアカデミー代表・空手クラス担当
東京の大手フルコンタクト空手の道場で長年修行。
空手修行の一環としてボクシングやキックボクシングも学び、プロライセンス取得・試合も経験。
道場での指導の傍ら、ボクシングトレーナー、フィジカルトレーナーとしても活動しています。
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