幸せになりたいと全く思わない人はこの世にいないと思うのですが、心の底から本当に幸せだ!と思える人は、今現在の社会では少ないんだろうな~と感じています。じゃあ、お前はどうなんだと言われると、難しいところもありますが、まあまあ幸せを感じられている方な気がします。

それは別に、僕が「他者から見て裕福である」とか、「世間的な基準に合わせた幸せを手に入れている」とかではなく、自分自身の心がどう感じるかという意味合いにおいて、ですが。

「”他者や世間の目から見た幸せ”に捉われていない」という意味で、自分基準の幸せ、もっと単純な言い方をすれば、「自分が本当にやりたい事、関心のある事」に人生を使っているという意味になるかなと思います。

比較は幸せを生み出さない。それってやっぱり真実だと思うんですよね。
自他は全く違う存在、趣味も考え方も価値観も全てが全く違う。それなのに、他人の基準に合わせていたら、人生で本当に自分がやりたい事をやる時間は恐らくなくなってしまうでしょう。

他者から見て、世間から見て幸せかどうかは、常に変わる。国や地域や時代によって常に変わるし、見る人の価値観によってもコロコロと変わる。

サッカーに全てをかけて生きている選手にとっては、その世界における価値観が全てだろうし、その世界にいる間はそれでいいのかもしれない。でも、選手を引退して違う世界に行った瞬間、全く価値観が変わってしまう。

僕は空手やボクシングといった武道・格闘技の世界にいたけれど、その世界では強さが最上級の価値といってもいい世界。でも、その世界の中でも、空手・キックボクシング・ボクシングとやってきて、ルールや階級とかも含めて「それぞれの世界における強さ」の基準が違う。それを見てきて、世界が変われば全く違うのだという事を目の当たりにしてきました。単純にボクシングとキックでも階級の数が全然違う。

キックボクシングがボクシング並みにジュニア階級(今はスーパー階級って言うのかな?)を増やせば、チャンピオンやランカーの数は倍増する。そうなったら選手は(多分?)嬉しいでしょうね。
あるいはボクシングで現在のスーパー階級を「細かすぎる」と考えて無くせば、チャンピオンやランカーという肩書きのある選手達の数は半減する。選手は引退後に語れる肩書きが無くなってしまう。選手は迷惑がると思う。

もっと言うなら、空手は流派・団体により三階級か、四階級でやってるけど、フライ級、バンタム級、フェザー級とか作ったらもの凄い数のチャンピオンが出てきますね。同じ武道でも、柔道はかなり細かいんですよね、そういう意味ではあってもおかしくはない。

テニスなんて、完全に無差別で、団体も一つ。ボクシングやキックみたいに世界ランキングを作る団体が複数あるわけじゃないから、物凄い競争の中で競っている。

文科系でも同じで比較・競争し合っている。音楽の世界ならある楽器のコンクールで何位になったか?絵画や書道でも他者との比較に全てをかけている人がいる。芸術って争いなのか?と門外漢には思えるけれど・・・。

そういった他者と比べた強さや上手さ、つまり比較を絶対の価値として考えている人もいれば、同じジャンル、同じ書道や武道や楽器をやっていても、他者との比較ではなく自分の内面との闘いである人、つまり昨日の自分より向上したいと思う人もいるでしょう。

そういう人は、例え武道や日本の稽古事ではなくとも、競技ではなく「道」に生きている人になるのだと思う。

この世界には、競技・競争、つまり「他者との比較で生きている人」と、道、つまり「内面的な意味合いで、昨日の自分よりも今日の自分を成長させたい人」という、二種類の人がいるんでしょうね。
そして、お互いに全く相容れない価値観を持ってこの同じ世界に生きている。

他者との比較で幸せを感じるタイプの人が幸せで在り続けるには、ずっと他者に勝ち続ける必要があるわけで、でもそれはどんなに才能や能力があっても無理がある。必ず、力が衰えるし、運の上下もある。
そして何より、この生き方をしている限り、他者はずっと自分の地位を脅かす敵となってしまうわけで、生きるのがずっと苦しくなってしまう。

競争や比較は自分自身を成長させたり、怠け心に打ち勝つためのツールとしてはいいと思うけれど、ずっと人と競い合って生きていくのはメンタルがかなり辛くなるというか、人間の本性とは相容れない生き方なんじゃないかなと思います。

行き過ぎた競争・比較は、非常に大きなストレスとなり人間にとっては猛毒となってしまう。脳内には緊張状態に発生するホルモンが溢れてしまい、自分で自分の体を蝕んでいく。

多分、人は他者とコミュニケーションを取って、お互いがお互いのために役立つような、助け合いをしていくのが、本来の生き方なんじゃないかと感じるんですよね。

自分で書いてても、何となく綺麗事、絵空事を言ってるみたいだけれど、でもやっぱり競争、競争の中では人は心底から幸せを感じられないだろうし、必ず行き詰まるのだと思う。

本当に、心の底から幸せを感じて生きていきたいのなら、地球に生かされている動物として自然と同調し、なるべく地球を破壊する事なく、他者と協力し合って何かお互いのためになる事を実現していく、そんな人生を送るのが、人としての幸せなんじゃないかなあと思います。

投稿者プロフィール

岡本
岡本マーシャルアーツアカデミー代表・空手クラス担当
東京の大手フルコンタクト空手の道場で長年修行。
空手修行の一環としてボクシングやキックボクシングも学び、プロライセンス取得・試合も経験。
道場での指導の傍ら、ボクシングトレーナー、フィジカルトレーナーとしても活動しています。
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