指導者に大切なもの。

それは今までにも色々言われているし、見聞きしていて、それぞれ正しいなと思います。熱意や冷静さ、優しさと厳しさ、といった相反する要素も必要だし、専門的な知識や人として聡明である事も大事だろうし。

でも、長年、武道やトレーニング等を人に指導をしてきて、僕自身が今「これが大切かな?」と思っているのは、「間合い」、「距離感」。
でも、それは「離れる、距離を取る」という意味ではなくて。

武道で言うと、「お互いの技が当たらない、でも一歩踏み込んだら当たる」というくらいの距離感を、お互いが自由に動きながらも何となくずーっと保っているような感じ。

相手との距離感を計りながら付き合えるかどうか。
そして、そうして自由に動いていても、必要な時にはサッと相手の心に触れられるかどうか。

もう少し、言い方を変えるなら、相手の心の「琴線が何処か」が分かり、必要な時にそこに触れられるか。
その間合いを、相手の心の動きを見ながら、常に「着かず離れず」を保ちながら、ここ!という時には、距離を詰めて踏み込めるかどうか。

もっともっと単純に言うとしたら、少し「おせっかい」である事かな、と思います。周りに何となくまとわりついていて、必要な時は少しだけ相手の心に土足で踏み込む。居間までは行かないけど、玄関先くらいまでは(笑)
でも、これは緊急事態だ!という時には、居間まで土足で踏み込める勇気は持っている。それくらいの勇気は指導者は絶対に持っている必要があると思う。

勿論、何でも行き過ぎは良くないし、お互いの関係性もあるし、相手の性格もあるので、一概には言えないけど、でもまあ大きくは外れていないんじゃないかな、と思っています。

現代は、昔と比べると、人との距離をかなり取る時代の様に感じます。別にそれ自体は悪いとは思わないし、プライバシーを守りやすいといったプラスの面もあると思う。

でも、その代わり失ったものも大きいとは思うんですよね。僕が子供の頃でさえ、周りの大人って近所だけでなく商店街のおっちゃんですら、人のプライバシーに平気で踏み込んできたりするし、普通に怒って怒鳴りつける人が多かったですしね。

今、そんな事やったら、すぐに問題になるでしょうけど、ああいう社会だったからこそ、何か悩みや問題を抱えていたら町内に誰か身近に助けてくれる人、手厳しいアドバイスをしてくれる人達がいたんだろうとも思うのです。

全てがベストという時代は、いつどんな国にも無いとは思うけど、「少しのおせっかい」はどんな時代でも、国であっても、大人が無くしてはならない大切な要素じゃないかなと思います。

それは子育て、教育や指導といった面だけではなく、街づくり、コミュニティ作りといった部分でも大切だろうし、同時に犯罪の抑止にも繋がっていくだろうし。

最近の何かトラブルがあったら、すぐ逆ギレっていうのは、凄く心の余裕が無いって事だし、距離感がめちゃくちゃ悪いんだと思うんですよね~。

人の心に触れる事を必要以上に怖れない、それを互いに楽しめるだけの余裕を持てるっていうのは、凄く大切な事じゃないかな、と最近の社会を見ていてつくづく思います。

投稿者プロフィール

岡本
岡本マーシャルアーツアカデミー代表・空手クラス担当
東京の大手フルコンタクト空手の道場で長年修行。
空手修行の一環としてボクシングやキックボクシングも学び、プロライセンス取得・試合も経験。
道場での指導の傍ら、ボクシングトレーナー、フィジカルトレーナーとしても活動しています。
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